domestique’s high おまけ

 限りなく現代っぽいパラレルワールドのスピラで、ロードレースの頂点を目指すジェクアーとブラスカ様の話でした。

 以下、キャラクターのざっくり設定と時系列まとめ。

【ジェクト】
 とんでもなくすごいロードレーサー。どんなタイプの競技形式にも強く、優勝経験とか記録とかが多すぎる怪物。ロードレース界では「王」と呼ばれている。
 パンチャー(短距離の登板や積極的なアタックが得意)型クライマーで、激坂におけるパワフルな走りとゴール前の爆発的アタックが持ち味。急勾配でもギアを一番重くしてサドルから尻を上げずにゴリゴリ登る。平地も速いのだが、速すぎて暴走しがちなため悪天候にやや弱め。それでもとんでもなく強い。
 もともとは有名強豪チームに所属し頭角を現したが、あまりに強すぎたためにチームメイトたちとの間に軋轢が生まれ、そこに目をつけたブラスカにスカウトされて移籍。無名だったチームを一気にスターダムに押し上げる功績を残す。移籍当初は不仲だった古参メンバー・アーロンとは、前代未聞のチーム内デッドヒートを経てのちに伝説の名バディと称されるようになる。
 十年前のグランドツアーで落車、これにアーロンが巻き込まれて重傷を負う。この事故は横殴りの強風の吹くタイミングでアタックを指示したブラスカの誤采配とされているが、これにより棄権を余儀なくされたジェクトは王座を失う。翌年の再起を待望されていたが、ツアー後突如として消息を断った。

【アーロン】
 むちゃくちゃすごいロードレーサー。元はクロノマン(平地での単独走行を得意とする)型のエースだったが、ジェクト移籍以降はルーラー(平地を一定のペースで走り続けるゲームメイカー)タイプのアシストに転向する。
 チームブラスカの立ち上げメンバーであり、チーム初のグランドツアーではホワイトジャージ(最優秀若手選手賞)を獲得する健闘を見せた。
 20代の頃は血の気が多く、競合チームのラフプレーに憤るのをブラスカに制止される場面も。ジェクトとのダブルエース体制で臨んだグランドツアーではなんと同チーム内での優勝争いを繰り広げ、観客の度肝を抜いた。ロードレースファンの間で単に「伝説」と言うときはほとんどの場合この事件、あるいはその当事者であるジェクト・アーロンの二人を指す。
 以降はアシストに完全転向し、十年前の事故まではジェクトを牽き続け彼の王位維持に大きく貢献した。アシストとしては先導・牽引がメインだったが、追い抜きをかける敵チームの選手を雰囲気だけで威圧して動きを阻害する離れ業もしばしば披露する。
 十年前の事故により右目を失明。転倒したジェクトの車体の一部がアーロンの目を直撃したことが直接の理由。その後は表舞台から姿を消していたが、二年前からジェクトの息子であるティーダを中心としたチームに所属し、後進の育成に努めている。

【ブラスカ】
 チームブラスカの創立オーナーであり初代監督。もとは自転車メーカーで新規素材の開発を行なっていた研究者だった。ジェクトとタメ。
 本人は運動のたぐいはからっきしだが、ロードレース観戦が大好きであり、趣味が昂じてチームを立ち上げる。妙に顔が広く、スポンサーや協力企業を捕まえてくるのが上手かった。また、チームのトレーニングメニューもブラスカの開発によるもの。パートナーもまた工学系の研究者であり、こちらはメカニックとしてツール開発などで貢献した。
 采配にも一定以上の評価があったが、十年前のグランドツアー(以下略)ジェクトの落車の原因は不運な事故であるとも、競合チームの作為によるものとも言われているが、本人は己の采配ミスであると宣言。ジェクトの失踪に加えてスポンサーからの圧力もあり、アーロン復帰を待たずに監督職を辞した。
 その後は伴侶とともにスピラのあちこちを巡る旅に出る。旅といっても遊びではなく、各地の研究機関などと共同研究を行いつつ、失踪したジェクトの行方を追っていたようだ。

【ティーダ】
 ジェクトの息子であり、彼の失踪後はアーロンに預けられてロードレーサーとして育つ。
 スプリンターとして五年前のジュニアカップで優勝。ジュニアトーナメントでも複数の優勝経験があり、さすがは王の息子と賞賛されるが本人はこう言われると立腹する。年端もいかない頃にその親父が失踪してしまったのだから当然である。
 二年前にプロデビューし、とあるチームのエースとなってからはアーロンのアシストで実力を伸ばしている。が、そのアーロンがついに競技引退を表明したため引き留め作戦に躍起になっているところ。

【ユウナ】
 ブラスカの娘であり、ティーダのチームメイト。基本的には補給担当のアシストだが、ここぞと言うときにユウナが何かを祈ると奇跡的なタイミングで局地的に追い風が吹いたり向かい風が止んだり悪天候が収まったり競合選手がずっこけたりすることでも有名。誰が呼んだか召喚ボンバー。

【ワッカ】
 ティーダのチームメイト。アーロン引退後の筆頭アシストと目されているが、事故で命を落とした弟の命日に開催された大会では、アシストながらエースのティーダに道を譲られゴールラインを切る走りを見せたオールラウンダー。好不調の波が激しく、一部のファンからはスロット野郎と呼ばれているらしい。

【ルールー】
 ティーダのチームメイト。競合チームの牽制を得意とし、集団抜けを企む走者に巧みに張り付いてアタックを許さない。冷静さが持ち味であり、レース中の交渉を請け負うことも多い。走行中以外は何かしらのぬいぐるみを抱えていることでも有名で、ルールーファンも沿道でぬいぐるみを振るのでとても分かりやすい。

【リュック】
 ティーダのチームメイト。身軽さを活かした俊敏な走りにより、特に大集団から抜け出す間隙を切り開くのが得意。手先が器用であり、メカニック顔負けのメンテナンス技術を持つ。クラッシュで車体を破損した盟友(いとこでもある)ユウナに自分の機材を渡し、道端で修理してからレースに合流し、ちゃんと時間内にゴールした勇姿は語り草である。

【キマリ】
 ティーダのチームメイト。その巨躯と存在感を武器に、逃げ集団の捕捉やゴールスプリントで先陣を切る。あまりにデカいのが一気に来るので追われる選手から見るとキマリが上からジャンプしてきたように感じるらしい。寡黙すぎてインタビューではいつも飛ばされる。
 無骨な外見のわりにかなりマメであり、ジェクト・アーロンの「協力者」として動いていた時期がある。

【ユウナレスカ】
 エボンコーポレーション代表取締役であり、チームブラスカのスポンサー。十年前の事故を利用してオーナーの座に収まる。ブラスカに引退を勧告した本人と噂されており、ゴシップ好きの間ではジェクト落車事故の黒幕であるとさえ言われている。

【シーモア】※出番なし
 チームティーダのライバル軍団を率いるエース。口八丁が巧みであり、難関ステージでは競合チームのメンバーさえ丸め込んで、時に勝ちを譲る姿勢を見せながら虎視眈々と総合優勝を狙う。ユウナの引き抜きを画策しており、チームティーダからの評判はすこぶる悪い。

【キノック】
 チームブラスカ立ち上げ当初はアーロンのアシストを担当。ジェクト移籍後はこれといった功績を上げられず燻っていたが、ユウナレスカの暗躍によりブラスカの後任として監督の座を得る。そのうちシーモアの甘言に騙されてチームユウナレスカ大敗の原因となるはず。

【メイチェン】
 ブラスカがジェクトを捜す旅に出た頃からたまにアーロンを訪れるようになった得体の知れない老人。ジェクトらの協力者。話が長い。
 もともとはブラスカの卒業校であるベベル大学で教鞭を執っていた歴史学者。学内の派閥争いの結果、ブラスカ卒業と同時期に大学を退職し、ルカで在野の研究者をしている。
 化学専攻だったブラスカが歴史学のメイチェンと懇意だった理由は謎。まあブラスカ様、興味の幅広そうだしね。

【ベルゲミーネ】
 ガガゼト山の麓にある街レミアムで法律事務所を営む弁護士。告発の代理人を務めた。常に姿勢がよく、声がむちゃくちゃよく通る。
 以前は刑事畑をメインとしていたが、エボンコーポレーションの悪どいやりくちによって苦しい生活を強いられる人々のために民事畑でも活躍している。
 メーガス三姉妹は彼女の事務所の名物スタッフ。


【ジェクアーが同チーム優勝争いした年のコース(仮)】
 ナギ平原→ガガゼトのナギ平原サイド上り下り→(移動)→ビーカネル島→(移動)→ルカ→ミヘン・ジョゼ→(休息日)→幻光河→グアドサラム→雷平原→マカラーニャ→ベベル→ナギ平原→ガガゼト越え→ザナルカンド
 ツールドフランスも島から本土に移動したり、ドーバー海峡渡ってイギリスやアイルランドが途中に入るコースの年もあったということで、途中移動あり。飛空艇で移動してんじゃないかな。
 ビサイドとかキーリカ入れるとレース外移動が多すぎるので諦めましたが、ビサイドの浜から村までの道を走るシーンは観たい。コースアウト怖すぎるけど。

【だいたいの年表】
17〜8年前
・ブラスカとアーロンの出会い。
・チームブラスカ、ベベルにて創立。
13年前
・チームブラスカ、グランドツアー初挑戦。アーロンがホワイトジャージを獲得。
・拠点をベベルからザナルカンドに移す。ジェクト加入。
12年前
・前年に引き続きグランドツアー出場。デッドヒートとおてて繋ぎゴールでジェクアーが伝説となる。
・アーロン、ツアー後にアシストに転向。
10年前
・グランドツアーにて多重転倒事故発生。ジェクト、アーロンが重傷を負う。
・ブラスカ、事故の責任を取り監督・オーナーの座を退く。チームはエボンによって買収される。ジェクト失踪。
9年前
・ティーダ母、急逝。ティーダはアーロンに引き取られる。
・ユウナ、ビサイドへ移る。
・ジェクト、この頃にザナルカンドを出る。各地を潜伏しながらビサイドへ。
7年半前
・ブラスカとジェクト、ビサイドで再会。
7年前
・キノック、チームエボンの監督に就任。
・ブラスカ、薬をすり替えられた選手をルカで発見。しかし協力を拒まれる。
5年前
・ティーダ12歳、ジュニアカップ優勝。
3年半前
・ブラスカ、例の選手から同意書を得る。
・ジェクト、ビーカネル島に移動。
2年前
・ティーダとアーロン、現チームに加入。
1年半くらい前
・ユウナ、ワッカ、ルールー、キマリがティーダのチームに加入。数か月後、リュックも加入。
現在
・アーロン、ジェクトとブラスカに再会。告発会見に臨む。
・アーロン、チーム加入時の契約通りに引退。競技からの完全引退と言われていたが……。