指揮官殿が粉薬飲めないってマジで?

 鬼の霍乱だ、と思うと同時に、隣で雷神がでかい声を出した。「槍が降るもんよ」「雷神、五月蠅」 げしっ。風神の相変わらずキレのいいローキックが脛にクリティカルヒットして、声もなく跳び上がる雷神を呆れた目でカドワキが眺める。…

噛みつく

 やわらかな微睡みから、スコールは覚醒した。人のいないプールから静かに浮上するように、朝に引き揚げられる。瞼は閉じたままで、カーテン越しのほのかな光を知覚した。そう遅くはないだろう、静かな朝だ。 深く息を吸い込む。ぐっと…

レンタル・仕返し

レンタル 「……ということでね、彼をぜひお借りしたいんだ」 はいこれ書類一式、とアーヴァインが差し出したクリアファイルを受け取る。スコールは自分の眉間に皺が寄るのを隠そうとも思わなかった。 ガルバディア・ガーデンに籍を置…

戦場の狗

 どう、と衝撃が先に来た。炸裂する手榴弾が積み上げた土嚢を吹き飛ばす。巻きあがる砂塵、飛び散る泥と石塊、ぶちまけられる内臓、悲鳴。衛生兵、と誰かが言う。メディック、メディックどこだ、頼むから来てくれ、死んじまう。もう手遅…