カテゴリー: firion/tidus
千年後の約束
降り注ぐ太陽の光をぎゅっと束ねてかたちにしたような、つやつやの毛並み。晴れの日の凪の海を汲み上げたような、澄んだ青い瞳。爪の先までぴかぴかに整えられて、ご自慢の尻尾を揺らす風は今日も爽やかだ。 ティーダはいつもの見回…
髪を結う朝
ふんふん、と調子外れな鼻歌が背後からフリオニールの首筋をくすぐる。どうしても傷んで絡みやすい髪をどこかで拾った櫛で梳くティーダは、朝からご機嫌だ。「あっわり、痛くねえ?」「大丈夫だ」 縺れた毛を引っ張られて、頭皮に疼く…
ラミア2×人魚10
ひどく腹が減っていた。最後に「食事」にありついたのがいつだったのかも思い出せない。フリオニールは溜息をひとつ、ずるずると引きずる尾を覆う鱗はすっかり艶をなくしてしまった。 上半身はヒトのかたち、下半身は極彩色に偏光する…
ハンバーガー
ふたつ割りにした丸く平たいパン。その間に、トマト、生玉葱、酢漬けにしたきゅうりの薄切り、挽肉をやはり平たく固めて焼いたもの、それからレタスは見つからなかったから、少し硬いけれどキャベツの千切り。酢とたまごで作ったソース…
Día de Muertos
水面に浸した爪先が、波紋の下で屈折する。細波の反射する光が緑がかった赤に傾斜して、フリオニールは目を眇めた。 この世界の太陽は七色に歪曲していて、目の眩む毒々しさにフリオニールはひどく居心地の悪い思いをする。幾たびも…
しまっちゃうよ。
ちゃぷん、と桶の水が跳ねる。ナイフを引き揚げたフリオニールは、テントの軒先に下がるランプの灯りに刀身をかざした。今日の昼間の戦闘で少し欠けてしまったが、丁寧に研ぎ直したので何とか元の姿を取り戻していた。ほっと安堵の息を…
投げキスで意思疎通する47に巻き込まれる210
これは一体何なんだ。ティーダとフリオニールは目を見合わせる。(どーゆーことっすか)(俺に聞くな) 戸惑いを隠せない年下組をよそに、年上組——セシルとクラウドは至ってご機嫌なようだ。「どうしたのティーダ」「んーん、何でも…
どうしようもないおとなたち
「なあフリオニール」「どうした?」 ちょいちょいとマントを引く手に、フリオニールは歩みを止めて振り返る。野営地を畳んで四人で歩き出してから、そう長くは経っていなかった。今のところはイミテーションともカオスの軍勢とも遭遇せ…
◯◯しないと出られない部屋
「怪しいものは見当たらないな」「というか、何もないね、潔いくらい」「こっちも何もなしっす」「同じく」 床に這いつくばっていた姿勢から同時に立ち上がる。四人揃って寝間着のままだ。「確かにテントで寝てたと思ったんだけど……」…
みんなでごはん
いただきまっす! とティーダの元気のよい声に、フリオニールが召し上がれ、と答える。その一瞬に、大皿からメインディッシュを黙ってごっそり持っていくクラウドに、ティーダが拳を振り上げる。 今日のメインは七面鳥に似た鳥のロー…