投稿者: katsuragi_14
ねこのはなし
浴室から出てリビングに入ると、ソファに長いものが横たわっていた。猫は何かの拍子にとんでもなく伸びるものなので、いまさら驚くことはない。タオルで髪の水気を拭いつつ近づいてみる。横になっているからといって眠っているわけでは…
あいがん
暁闇に紛れて、その指を盗む。 光の気配を孕んだ夜はまだ寝室を支配している。清潔なシーツはわずかに乱されて色を含む。彼は目を閉じて身じろぎもしない。 眠っているのだろう。そう信じている。静かな呼吸に上下する肩、乾いた皮膚…
ごはんをたべよう
食事は大切な行いだ、とリーブは思っている。一種の聖性を感じ、信仰していると言ってもいい。食べることには生命維持以上の意味がある。だから、必要な栄養素を摂取するためだけの咀嚼と嚥下をリーブは食事と呼びたくない。 若い頃は…