投稿者: katsuragi_14
enchanted
【enchanted】大喜びして、うっとりして。魔法をかけられて。 「クラウド、ティーダどこ行ったか知らねえ?」 そう声をかけてきたのはジタンだった。毛並みのいい尻尾をくるりと立てて、ちょうど武器の手入れを終えたクラウド…
husky
【husky】低くかすれた魅力的な声、風邪などで枯れた声。 「行ってくる」「あとは頼んだよ、フリオニール」「昼は戻らない、適当に済ます」「夜の分の食糧は僕らが採ってくるから心配しないで」「水は汲んでおいたから好きに使え」…
freeze
【freeze】凍る、凍結する。凍える。急に止まる。動けなくさせる。 焚火に放り込んだ枝がぱちりと爆ぜる。あたたかい、というよりは生ぬるい肌触りの夜だ。 この世界に季節というものはなくて、ひとつひずみを抜ければそこはぎ…
mindless
【mindless】愚かな、思慮のない。自分の行いがどのような意味を持つか理解しないさま。 あ、と思った時にはもう遅かった。フリオニールの瞳孔が一瞬開いて、すぐに鋭くなる。口もとがぐっと震えて、いつもよりずっと低い声が…
The coast is clear
ああ、なんて、自分勝手で臆病でずるい男なんだろう、こいつは。 このとんでもない大所帯による飛空艇の旅にも慣れた。ティーダの知っている飛空艇とは少し具合が違うようだが、馬鹿でかい船を飛ばすのに特段の興味を抱かないティー…
喧嘩が下手なふたり
喧嘩をした。「……出てってやる」「そうか」「こんな家、二度と帰ってこねえ」「勝手にしろ」 俺はソファに座ったまま、ティーダはソファを挟んで反対側に背を向けたまま、顔も見ずに捨て台詞を吐き合う。 どこからどう拗れたか分か…
映画『戦場のメリークリスマス』より
どさり、と足元に転がされたのは、ぼろきれのように薄汚れた少年だった。「陛下、これは」「捕虜のようなものだ。貴様が監視しろ」「……俺が、ですか」「不満か? ろくな戦果も挙げられぬのだ、せめてこのくらいの役には立って見せよ…
ゆめのしま
眠れねえの、と囁かれたのは、フリオニールが何度目かも分からない寝返りを打った時だった。「すまない、起こしたか」「んーん、おれも何となく起きちゃっただけ」 慌てて振り返ると、枕代わりに丸めたタオルに顔の半分を埋めたティー…
ポータブルムーン
ああ、と驚き半分、落胆半分のフリオニールの声が聞こえて、ティーダは読みかけの雑誌から顔を上げた。「どーかした?」 キッチンカウンターの向こうで包丁を握る同居人――白々しい言い方してすみません、同棲中のコイビトです――は…
それから、愛情
「ティーダ、休憩にしよう」 そう言ってフリオニールが足を止めたのは、見渡す限り濃い緑がざわめく草原の真ん中だった。うん、と頷いたティーダは右手に提げたままだった愛剣を消して――当たり前のように空間から出し入れしているが、…